はうすてんぼぶ

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本を読み終えたよ

「インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針 」という本を読み終わったので、
その感想とか面白かったとこをメモしておこうと思う。

本の感想は初めて書くので、
変なとこあった場合はご指摘をお願いします。

インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針

インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針

本の前半はUIやデザインに関して、
後半は人の行動や心のあり方的な内容が多かった。

全部が全部インターフェースに関してではないので、結構誰が読んでも楽しんで読めるのかな。

何気ない人の仕草や動作には、ちゃんと理由があって、
「それを前もって汲み取ったUIにしとくとユーザに優しいよね!」
「ユーザにこちらが意図した動作をさせたいときは、こうしようね!」
「ユーザはこういう見せ方や手順を踏むと、こんな風に感じるかもね!」
な内容が多い。

この本を読むことで、
「このUI見た時、ユーザはどう感じるかな?」
「どんな風に画面設計すれば意図したようにユーザは触ってくれるかな」
といった疑問解決のきっかけや答えを得られると思う。

特定のユーザターゲットやシチュエーションを想定した内容が比較的少ないので、
そういう実践的(?)な知識を得たい場合には違う本のほうが良いかもね。

全体的に、
「こういう人の行動や心理は、これこれこういう理由や実験にもとづいて裏付けされている。」
といった内容が多いので納得しながら読めると思う。

デザインの作り方に限らず、
アンケートの取り方やグループ作業に関してとか、
インターフェースにかぎらず満遍なく書かれているので
「そーなのかー」「あー、そういうのあるなぁ」
というのが多く、心理学のことをほとんど知らない俺でも楽しんで読めた。

以下、興味深かったところを幾つか触れてみる。

027 情報は少ないほどきちんと処理される

人が処理できる情報量に限度があるので大量の情報を一度に見せるのは避け、
段階的に開示する方法を用いると良いよ、といった内容。

ざっくりした情報だけまず見せておいて、詳細を知りたければさらに辿れるようにしておけば、
ざっくりした情報だけ知りたいユーザと、詳細を知りたいユーザの両方に対応できるとのこと。
でも、ちゃんとユーザのニーズを調査しておかないと、
「なんだよ、まだクリックする必要あるのかよ」と不満が生まれてしまうかも、といった警告も有り。

段階的な開示方法を用いると、結果的にユーザのクリック数は増える。
反面、「ユーザが得たい情報を得るまでのクリック数は少ない方が良い」、というのをよく聞く。

これに関してもここで取り上げられていて、
適度な情報を得ながら先に進むのであれば、ユーザは楽しみながらクリックしてくので、
あまりそのことを気にすることはないとのこと。

ここでの「楽しむ」ってのは、
情報を得られることでユーザが得る快楽が関係しているのかな、と思った。

028 心的な処理には難しいものとやさしいものがある

これも前の027の内容と関係して、クリック数に触れられていたので取り上げる。

「ユーザへの負荷」と「クリック数」のトレードオフの関係にあると書かれている。
ユーザへの負荷を下げれば下げるほどクリック数は増えていくが、
ユーザに悩ませることが無くなればそういう設計にも意味があるとのこと。

ここでの「負荷」とは、何かを思い出したり、何かを見たり、マウスカーソルを動かしたり、
そういう行為のことを指している。
特に何かを思い出したり、考えたりする心的な行為をするときは一番負荷が高い、ってことが重要。
これを認知的な負荷とすると、「認知」>「視覚」>「運動」の順で負荷が高く、
心的資源を多く消耗する。

例えば会員登録をするページにおいて、
ページ遷移するためのクリック数が多い、
ということは、ボタンを見て(視覚)、そこまでカーソル(指)を動かしてボタンを押す行為(運動)が、
何度も発生することになる。
反面、ページ数が増えることは、
「どこから手をつけるか」「手順は間違っていないか」
といったユーザが考える負荷を下げていることになる。
このユーザの考える処理を無くして上げるようにページが設計されているのであれば、
例えクリック数が多くても負荷は少なく、「簡単!」とユーザに思わせることが可能とのこと。

視覚や運動の負荷が上がっても、認知の負荷が下がるのであれば、
その方法を採用を検討したほうが良いよ、ってポイントに書かれていた。

050 目標に近づくほど「ヤル気」が出る

目標に近づいていることをユーザに視覚的に分からせる。
幻想的でも目標に近づいているとユーザに錯覚させる。
そうさせることでユーザのヤル気を生み出すことは可能だよ、
といった内容。

ここでは、Dropboxの追加ストレージ獲得のことが例として取り上げられている。

自分も追加ストレージを貰うためにあの手順を踏んだことがある。
報酬がもらえることもあり、
あの時は比較的ヤル気は高く、手順の多さが気にならなかったと思う。

当時のその「ヤル気」は、Dropbox側の達成度の見せ方に寄るのかな、
と、本節を読んで思った。
どれが達成されていて、どれが未完了かってのがすぐ分かる。
左側の空っぽのDropboxのアイコンがちょっとずつ溜まっていく。
そういった「目標までどれだけ近づいたか」が視覚的に見せられていたことで、
おのずとヤル気になっていたのだと思う。

あの時の自分はDropboxの意図した通りに動いてしまった1ユーザにすぎなかったのだ…。

066 オンラインでの交流においては社会的なルールの尊守を期待する

ここは、
ユーザがウェブサイトを見たり、ユーザに選択肢を提示させたりすることは、
人間同士のやりとりではどういう事なのか、
に着目して書かれていてとても面白かった。

ユーザがウェブページを見たり、アプリを使うときは、
人間同士の対話のように、ある程度どういった反応が戻ってくるか、
を想定しているとのこと。
人は「こんにちは」とこちらが言えば「こんにちは」と相手は返してくれるとか、
そういった反応をおのずといくつか想定している。
この想定から外れた時に人は居心地の悪さを感じるらしい。

これに基づくと、
読み込み時間が長すぎるサイトは、
話しかけた相手に無視されたり、見向きされなかったと同じようにユーザは感じたり、
個人情報を早いタイミングで入力させるサイトは、
やたら個人的なことを訪ねてくる人のようにユーザは感じてしまうかもね、
とのこと。

ユーザ(人間)とサービス(ウェブページやアプリとか)間で発生するイラツキの発生は、
そういう風に捉えるとしっくりくるなぁと凄く納得した。
「この画面の見せ方は、ユーザにはどんな人と捉えられるか」
といった風に考える行為はそんな時間もかかることでもないので、
アプリのページ設計するときには習慣づけていきたい。

079 人はまず「見た目」と「感じ」で信用するか否かを決める

この節は、人の幸福と信頼は相関性が高い、ということについて述べられている。

その過程で人の幸福の感じ方に関していくつか箇条書きで書かれていて、
「あー、かもなー」といったことが結構書かれていた。

特に以下の2点は興味深い。

  1. 通勤中は幸福度が最低になる
  2. 忙しい人は、することがほとんどない人より幸せ

あっ(察し

081 達成が難しいことほど愛着を感じる

団体への入会に難しい条件を与えたり、紹介制にしたりすることで、
ユーザはその団体への愛着が強くなるとのこと。

これを後押ししているのが「認知的不協和」理論。

認知的不協和の内容はだいたい以下の通り。
凄く苦労して得たものが、さほど良いものでなかったときに、
「俺はなんでこんなもののためにあんな苦労したんだろ…」
と思考に葛藤(不協和)が生まれる。
これを和らげるために「これはいいものだ!いいものだ!」
と強く思うことで思考の葛藤を和らげること。
道徳の時間に習う「あのブドウは酸っぱい!」のエピソード。

苦労と現実のギャップが大きくても、一応心の中で筋を通しておき納得する。
これが愛着の要因になっているとのこと。

コミュニティを愛着を持って大勢の人に使って貰いたい場合は、
この愛着を上手く生み出すような加入手続きを取るといいかもね、と書かれていた。

有料アプリのレビューにありがちだけど、
お金が絡む不満はぶつけ先があるとそこにぶつけられる傾向があると思う。
レビューを見たり、不満をぶつけることで葛藤を和らげているのかも。
まぁ、それだけユーザの期待が大きかったということだから、
それに見合う品質のものを作るように頑張りたいね。

082 将来の出来事に対する自分の反応を大げさに予測する傾向

ここは節のまとめに良い事が書かれていた。

ユーザの言う、
「こういう修正してくれたら凄く嬉しい」
「現状あまり良くないので、こうしてくれたら嬉しい」
「前回の修正はとても悪く、修正してくれないなら二度と使わない」
ここらへんは大げさに言っている可能性があるので、鵜呑みしちゃダメだぞ!
って。

うん、そうじゃないかと最近思ってた。

おわりに

一部しか取り上げられていないけど、
自分が特に興味深かったとこはこんな感じ。

本当に読みやすい書籍なので、インターフェースに興味が無くてもササッと読んでみると良いと思う。
ジョーク的な内容も上手く翻訳されているので、楽しんで読めると思うよ!