はうすてんぼぶ

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UXデザイン入門を読み終えた

業務でUI部分の実装をすることが多く、興味のある分野でもあったので先輩からUXの入門本をお借りして読んでみた。

UXデザイン入門―ソフトウェア&サービスのユーザーエクスペリエンスを実現するプロセスと手法

UXデザイン入門―ソフトウェア&サービスのユーザーエクスペリエンスを実現するプロセスと手法

表題の通り、内容はUXデザインをする際の手順がまとめられていて、
章ごとに各手順が説明されていく。

ペルソナ作成という単語だけは聞いたことはあって、
「そもそも何のためにやるんだろ」という根本的な疑問があったが、
どのフェイズで、何のためにやるのかがやっと分かった。

以下、内容や感想的なこと。


UXデザインのプロセスは以下のように進む。
デザイン調査 > ユーザモデリング > ストーリーボード > スケッチ > プロトタイプ
プロトタイプ実装後は、
ユーザビリティ調査 > 分析 > プロトタイプ改修 > ユーザビリティ調査、を何回か繰り返す。

ペルソナ作成は、ユーザモデリングのフェイズで行い、
ここで作ったペルソナはユーザビリティ評価の直前まで使う。
そのフェイズに至るまでは「主役のペルソナが満足するデザインをする」
という軸から外れないようにする。というか外れたらペルソナの価値が大きく失われる。

「こういう機能もあると便利かもー」という仕様が突然生まれることは往々にしてあるけども、
その機能を追加した結果、主役ペルソナ(ターゲット)に対してネガティブ要素が発生しないか、
という視点から検討することが重要だと感じた。
こういった時、「こういうユーザ(今まで案としてなかったペルソナ)もいるから必要だよ!」となるのは、
そもそもペルソナ作成と設定に失敗していて、
「たまたま案に出てこなかったペルソナ」なのか「本当にターゲットではないペルソナ」
なのか後のフェイズで判断を迫られることになり辛み力が凄い。
さらに詰めていくと、ペルソナの作成はデザイン調査が元になっているのだから、
「デザイン調査の段階からか!」と詰将棋の詰まされる側に立っている気分になりそう。

(突発的に仕様が増えることやデザインが大きく変わることは)予測可能(でも)回避不可能で、
その都度、「よしなな落とし所」や「妥協点」を探すことは結構あると思う。
それが技術的な問題があったり時間的な制約だったりで落とすこともあるが、
それよりも前に「そもそもその仕様やデザインはどのターゲットが幸せになるのか」
という観点を持った上で生み出されるべきで検討すべきなんだなと分かった。

目的が曖昧(またはチームメンバーで目的が共有されていない状態)だと、
本来手段であるべきものが目的にすり替わり、結局誰が得するのか分からないデザインや機能が生まれたりする。
そうならないためにターゲットとなるペルソナは必要で、それをチームメンバーで共有すれば、
「こういったデザインや機能が必要なのだ。なぜなら...であり、結果としてターゲットが満足するためだ」
という少なくとも目的(ゴール)がブレない仕様が上がるはずである。
うん。

この本に書かれているプロセスに則る場合、
「仕様(具体的な機能やデザイン)」はスケッチとプロトタイプのフェイズで作られる。
逆に言うとそこのフェイズにいたるまでは具体的なものはあまり考えてはいけない(とても重要)。
エンジニアは具体的な機能から考えてしまい、デザイナは具体的なデザインから考えたくなる。
そこから逆の道を辿り目的が生まれたりする場合もあるので、やめよう(戒め。

スケッチは1個前のフェイズのストーリーボードを元にして作り、
そのストーリーボードはペルソナを元に作っているため、ここで生み出される仕様も目的からブレないはず。
ストーリーボードの目的は「主役ペルソナがゴールを達成するための最良のストーリーの考案」、
スケッチの目的は「アイデアの創出・具現化」、
プロトタイプの目的は「顧客・ユーザから評価を得る」こと。
ストーリーボードの各ステップで必要となる機能やデータを洗い出して、
それらを紙やホワイトボードに書く(スケッチ)。
この段階では画面や機能の再現度はあまり重要ではなく、多く生み出すことが重要。
その中で重要なものをプロトタイプとして作りユーザビリティ調査を行なう。

このプロセスを読んでいて、
アイデアを出す人とペルソナ・ストーリーを作る人を別にするのはいいのかもと思った。
ストーリーを考えている段階で具体的な「機能」や「見た目」が頭に浮かんできそうなもので、、
同じ人がスケッチを行なうと、それに基づくなぞるようなアイデアが中心になってしまう恐れがありそう。
なので、前もって抽象度が高く作られるユーザストーリーをスケッチを作る人と共有し、
色々案を出してもらうのもいいのかなぁと感じた。

ただ、上に書いたような段階を踏んで生み出された仕様にもとづき、
実装されたインターフェイスがユーザに受け入れられない可能性もある。
一方で突発的に生まれたおもしろいアイデアに寄る斬新なデザインや機能がターゲット層に受け入れられる可能性もある。
そういった疑問はプロトタイプとユーザビリティ調査して解消すれば良さそう。
問題はそれに費やす時間とお金があるかどうか。
スケッチとして上がったアイデアを全てプロトタイプとして作り、ペルソナと似た多くのユーザによって評価される、
といったことはほぼ不可能で、
どれくらいユーザビリティ調査にコストを割くか、の判断が一番ユーザビリティ調査で重要に感じた。

新しい機能やインターフェイスを持つアプリやシステムは、
「なんだかんだで世に出してみないと分からない」
という面も大きく、その便利で無情で無慈悲な一文に寄るのだから世の中凄い。

ただ、「出してみる前から分かること」は、
この本でのUXデザインのプロセスに則っていれば早い段階から判断できそう。
プロセスがメインで書かれていたが、
ペルソナは後半まで登場し、その重要性を理解するには十分だった。
各フェイズでの役目や目的がはっきりしていて、それらは前のフェイズに基いて行われるため、
UXデザインを行なうこと自体のゴールがブレずに最後のフェイズまでちゃんと到達できそうだとわかった。

その一方でデザイン調査とユーザビリティ調査の難しさ(リクルーティングや質問内容の設定など)も読んでいて感じた。
UXデザインにどれくらいコストをかけれるか、期限に間に合うためにはいつまでに終わらせる必要があるのか、
といったUXデザインをする上での現実的な「兼ね合い・落とし所・折衷案」を見出すことも重要だと感じた。